コンテナとは
コンテナは、アプリケーションとその実行に必要な依存関係をパッケージ化した軽量な実行環境です。ホストOSのカーネルを共有しながら、プロセスを分離して実行します。
コンテナのメリット: 軽量・高速起動・環境の一貫性・リソース効率の良さ
仮想マシンとの違い
仮想マシン(VM)
- ハイパーバイザー上でゲストOSを完全に仮想化
- 各VMが独自のカーネルを持つ
- 起動に数分かかる
- GB単位のリソースを消費
コンテナ
- ホストOSのカーネルを共有
- プロセスレベルの分離
- 秒単位で起動
- MB単位のリソース消費
Linuxカーネルの技術
Dockerコンテナは、Linuxカーネルの2つの主要な機能を活用しています:
1. 名前空間(Namespaces)
プロセスが見える範囲を分離する機能です:
- PID名前空間: プロセスIDを分離
- Network名前空間: ネットワークスタックを分離
- Mount名前空間: ファイルシステムを分離
- UTS名前空間: ホスト名を分離
- User名前空間: ユーザーIDを分離
2. cgroups(Control Groups)
プロセスが使用できるリソースを制限する機能です:
- CPU使用率の制限
- メモリ使用量の制限
- ディスクI/Oの制限
- ネットワーク帯域の制限
# コンテナのリソース制限例
docker run -d \
--cpus="1.5" \
--memory="512m" \
nginx
Dockerイメージの構造
Dockerイメージは、読み取り専用のレイヤーで構成されています:
- ベースイメージ: OS(ubuntu, alpineなど)
- 依存関係: ライブラリやランタイム
- アプリケーション: 実行するコード
レイヤーの利点: 共通のレイヤーは複数のイメージで共有され、ストレージ効率が向上します。
現場で役立つ実践Tips
本番環境でのベストプラクティス
- マルチステージビルドを活用する
実際のプロジェクトでは、ビルド環境と実行環境を分離することで、最終イメージサイズを大幅に削減できます。
# ビルドステージ
FROM node:20-alpine AS builder
WORKDIR /app
COPY package*.json ./
RUN npm ci --only=production
# 実行ステージ(最小限のイメージ)
FROM node:20-alpine
WORKDIR /app
COPY /app/node_modules ./node_modules
COPY . .
USER node
CMD ["node", "server.js"]
- ヘルスチェックを必ず設定する
オーケストレーション環境では、コンテナの健全性を監視するためのヘルスチェックが重要です。
HEALTHCHECK \
CMD curl -f http://localhost:3000/health || exit 1
- 非rootユーザーで実行する
セキュリティ上、rootユーザーでコンテナを実行することは避けるべきです。
RUN addgroup -g 1001 -S appgroup && adduser -u 1001 -S appuser -G appgroup
USER appuser
よくある落とし穴
- イメージサイズの肥大化:
alpineベースイメージを使い、不要なファイルを.dockerignoreで除外する - キャッシュの無効化:
COPY命令の順序を工夫し、変更頻度の低いファイルを先にコピーする - 環境変数のハードコード: 機密情報は
--env-fileやシークレット管理ツールを使用する
関連記事
Dockerをより深く理解するために、以下の記事も参考にしてください:
- マイクロサービスアーキテクチャ入門 - コンテナを活用したアーキテクチャ設計
- コンテナオーケストレーション - Kubernetes等での大規模運用
- Dockerチートシート - よく使うコマンドのクイックリファレンス
- CI/CDパイプライン構築 - 継続的デリバリーでのDocker活用
まとめ
Dockerコンテナは、Linuxの名前空間とcgroupsを活用して、軽量かつ高速な分離環境を提供します。仮想マシンと比較して大幅にオーバーヘッドが少なく、現代のマイクロサービスアーキテクチャに最適です。
本番環境では、マルチステージビルド、ヘルスチェック、非rootユーザー実行などのベストプラクティスを適用することで、セキュアで効率的なコンテナ運用が可能になります。
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